神恋〜恋に落ちた神と巫女〜


「一つだけ教えておいてやる。お前は巫女だが巫女ではない」

「え?」

「巫女でもあるが本当のお前はもっと上の位置」


巫女の上って扇舞と鈴舞のあれしか。

「八乙女舞(やおとめまい)の舞い姫」

「私、舞の仕方分からないのに‥、」

「八乙女舞は巫女自身に神が舞い降りる、つまり神がかりの儀式のための舞だ。

月夜は俺と同じ立場に置かれている存在

分かりやすく言えば月夜と俺の立ち位置は隣り合わせ」


八乙女舞なんてやったことない。
教えられた事なんてないのに。

いつ、誰がそんな事決めたの?

それに、家に本装束なんて置いてないし誰かが着ている所なんて見た事がない。


「舞のための本装束は“衣装”としては存在しない。だからお前は建前上は巫女として巫女装束を身に纏う」


奏が言うなら本当なんだろう。

私は八乙女舞を舞う、舞い姫。

巫女は舞い姫や神子(みこ)とも言うけど、意味合いは若干違う。

巫女・神子は神に仕える者。

舞い姫は神の隣に立てる存在。
神が自身の体に降りれるほど神に近い存在。


つまり神と同等と言う事だ。



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