神恋〜恋に落ちた神と巫女〜


「ここに来て何かしたい事でもあったのか?」

「とくにこれと言ってしたい事は無いけど、」


私は湖ギリギリまで近づいた。

私の顔もしっかり写って本当に鏡みたいだなあ。


「気を付けろ。落ちたら命はないぞ」

「分かってるよ」


写す‥か。

(ちょっと待った、写す‥?)

「それだ!!」


巻物をこの湖の水で濡らせば文字が写る?!


「ってそんな魔法みたいな世界ないって」


ある訳ないと私は自分を笑った。
奏の声に応えるように私は振り返りその場から離れた。


「うわっ‥‥落ちる‥っ!!」


ギリギリまで近づいたせいか振り返ったその勢いで私は湖へと落ちてしまった。


「あのバカっ‥‥!!」


奏の駆け寄る姿が水の中からぼやぼやと見える。

不思議とこの水の中は息ができず苦しくとも心地良かった。

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