神恋〜恋に落ちた神と巫女〜


「それより、先ほど言っていた夢とはなんだ」


「ああ、実はね」


私は水鏡湖の中で見たお母さんと桔梗とのやり取り。

私を残した理由。
桔梗が本堂家を狙う理由。
私を欲しがる理由

そして桔梗がなぜこの水無月神社に縛られているのか。


見た夢の内容を詳細に教えた。


「未練か」

「私ね、桔梗が楽になれる方法がある気がするの。例えば、右京の遺品をあげるとか」

「もう何千年も前の出来事だ。右京の遺品など1つも残されてはいない」



確かに右京の遺品はあるはずがない。
土に刀とかなんか残せるものが埋まっていない限り。



『桔梗の後を追うように、右京は湖に身を投げ自ら命を絶ったのでした』



本を読み上げるお母さんの声がふと聞こえた気がした。


湖に身を投げ、自ら命を絶ったのでした。


(みず、うみ‥‥)


水無月神社には湖がある。

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