神恋〜恋に落ちた神と巫女〜
「好きだなって、愛おしいなって‥‥」
嗚咽を抑えながら、小さく呟いた。
この琴に触れていたら何かを思い出せそうな気がした。
「弾いてたらある記憶が飛び込んで来て。
今みたいに私は琴を弾いていて、
縁側にいつも居た誰かを愛おしいと思いながら弾いていたんだなって」
私を見つめる奏はとても優しく微笑んでいて。
「その男をお前は今でも愛しているか?」
今でも、愛してるか。
今の私は奏が好きだけど、
好きな相手が変わっても、
きっとこの先もあの人に対する愛情は変わらない。
思い出す度に胸がドキドキするんだ。
それくらいあの人に対する私の気持ちは大きなものなんだ。
「凄く、凄く愛してる。
私は奏の事を好きだと言ったけど、例え他の誰かを好きになったとしても、その人に対する愛情はきっとずっと変わらないよ。
もう会えないけど、私はずっとその人の事を死ぬまで愛し続けると思う」
今までに無いくらいの笑顔を私は見た。