神恋〜恋に落ちた神と巫女〜
「どこへ行く」
「ちょっ!今急いでるから!ナツくんが!」
息を切らしながら私は靴を履いた。
ナツくんすばしっこいな。
ついさっき廊下を走り去った所を追いかけたのにもういない。
多分この周辺に居るはずだからよく見ないと。
「なんだ、ナツならここに居るぞ」
「え?」
振り返るとナツくんは奏にもたれ掛かるように眠っていた。
(寝てる‥‥、)
おかしい、ナツくんはさっき走って本殿まで行ったのにずっと前から居たみたいにこうして寝てるなんて。
それに、
「狐のお面、付けてない」
「ナツはずっとここで寝ていたが、夢でも見たのか?」
乱れる呼吸を整えながら靴を脱ぐ。
ずっとここで寝てた?
私はさっきお面を付けたナツくんに会ったのに。
これが狐に化かされると言うものなのだろうか。