神恋〜恋に落ちた神と巫女〜
急いで湖に飛び込む。
私の目の先には何か浮くものがあった。
「ナツくん!!死んじゃダメだよしっかり!今行くからね!!」
泳ぎながら私は近づいた。
衣服が水を吸い込み体は余計に重みを増して、溺れてしまいそうになるのを何とか堪えた。
「あれ、ナツくんじゃない‥‥」
近づき触れてみると、ナツくんでもなく人でもなく何者かのただの着物だった。
必死にここまで泳いできた努力が水の泡だ。
「なんでこんな所に‥‥、」
じゃあナツくんはどこに行ったのだろうか。
私を置いてもう本殿へ戻ってしまったのだろうか。
あれこれ考えながら私は泳いで岸へ向かう。
すると今度は頭上に何やら紙のようなものがひらひら落ちてきた。
掴んで見てみると、そこには表の世界で私の手元に落ちてきたあの手紙だった。
書いてある事も紙質も全く同じもので。
「ん?これ‥‥、」
「水浴びか?」
やっとの事で岸へ上がった私は落ちてきた手紙を折りたたみ懐にしまった。
「なんでここに奏がいるの」
「ナツがお前が先程から見当たらないと言っていたからな。こうして探しにきてみれば呑気に水浴びか?」
「違うよ‥‥」
「見れば分かるでしょ」と私は充分に水を吸った衣服を絞った。