神恋〜恋に落ちた神と巫女〜
和室には相変わらず琴が置かれていて。
もっと他に和室はあるのに、なんでここなんかに。
「ねえ、奏。和室もっとあるけど‥」
「ここが良い」
琴の近くに腰を下ろした奏は腕を組んで早速寝ているようだった。
なんかこの琴見ると思い出すんだよね。
奏にもの凄い恥ずかしいこと言っちゃったし。
「なぜそこまで離れる」
「いや‥‥何と無く‥?」
「寒い」
手を差し伸べるその腕に導かれるように私は近付いた。
瞬間に押し倒される私は自分でも驚くほどされるがままで。
“私はされるがままが1番丁度良い”その言葉を鵜呑みにし過ぎでは無いのか?
そんな疑問が頭を飛び交うけど、答えなんかとっくのとうに出ていた。
私は、最初から奏に抵抗する何てこと出来ないんだって。
もしかしたら、心のどこかで望んでいるのかもしれない。
遠慮がちに私の頬に触れるその指からはかすかな愛情が伝わってくる。
(ああ‥‥きっと奏は、)
それに合わせるように私も奏の頬に手を添える。
(分かってたんだ最初から)
私だけを真っ直ぐ見つめる穢れのないその瞳は、
愛おしそうに見つめるその瞳は、
「待てないと言ったらお前はどうする?」