神恋〜恋に落ちた神と巫女〜
「何この空間‥‥」
「自身が不安定なのだろう。時空が歪んでいる」
黒く淀んだ空間は時空の歪みから地面すら無くなっていて。
私たちは空間に浮いている状態だった。
すると奏は勢いよく私を抱きしめた。
腕の隙間から見える光景は、黒い気体に変幻した桔梗の姿。
奏の力を取り込んでさらに強力で大きさが増していた。
力の差では、まだ圧倒的に奏の方が強いけれど1つだけ難点があった。
「奏‥‥死んじゃう‥、」
「下らない戯言だな」
桔梗からの激しい攻撃を背中にまともに受け止めてるんだ。
痛くて苦しくて当然だ。
時折痛そうに唸る奏は、私を守る事をやめない。
(札も、術も通用しない‥‥)
力を取り込んでいるせいで、奏の術は攻撃にすらならない。
こうなって来ると、奏の力はもはや桔梗のもの。
「もう良いよ奏‥‥これ以上誰も傷つけたくない‥‥」
「この腕を離せば、月夜は取り込まれてしまうだろう」
「良いの。腕離して‥‥!!」
「俺に指示するとは生意気だな。悪いがその願い叶える事は不可能だ」
もう限界が来てるのに、こんな状況でさえもいつもの奏だ。
苦しさを必死に隠そうとする。