神恋〜恋に落ちた神と巫女〜
巫女装束(みこしょうぞく)に着替え髪を一つに結う。
本殿に参拝をした後、私はいつものように掃除を始めた。
すると、
「何あれ紙‥?」
空からひらひらと落ちてくる紙のような物は、私の手の上にゆっくり落ちてきた。
「和紙で出来てる‥‥」
和紙で出来たその紙には何やら言葉が書いてあったが、私に読めるような字では無かった。
「お爺ちゃん、お婆ちゃん。これ空から落ちてきた手紙」
和室で書物を読む2人に私は先程の手紙を差し出した。
「どれどれ、仮名文字か」
お爺ちゃんはまじまじと見ながら手紙を読んだ。
「かくとだに えやはいぶきのさしも草
さしも知らじな 燃ゆる思ひを‥‥」
「これは恋の歌だよ月夜(つくよ)」
「恋の歌‥‥」
お婆ちゃん曰く、百人一首の一つであるとされるその歌は、“純粋にただ君だけが好きだ”と言う意味のある歌らしい。