神恋〜恋に落ちた神と巫女〜
やっぱり、あの時私を湖に導いたナツ君の姿をした子供は右京だ。
右京の魂があそこまで私を導いてくれたんだ。
着物も手紙も右京のものだ。
桔梗を助けて欲しいと思っていたんだ。
「私が死んでから、右京様が亡くなられたと言う話を噂で聞きました。
証拠もないのに、湖で亡くなったと言う噂だけが広まっていきました。
本当に湖で亡くなられたのですね」
「右京さんは桔梗さんの事を最期までちゃんと想っていたんですね。
じゃなきゃこんな手紙書きませんよ」
桔梗を取り巻く黒い気体のようなものが、徐々に消えていく。
右京が残した着物と手紙が桔梗を浄化していく。
「愛とは、何にも変えられないほどに強い力を持っているのですね」
(こんなに綺麗な笑顔出来るんだ‥‥、)
気付けば黒い気体も祓われ、洞窟に広がった異空間も無くなっていた。
「月夜様、私はお母様からの願いを最後まで守ることが出来ました。
そして、私を助けて下さったお礼と言って良いのか分からないですが、取り込んでしまった奏様を望み通りお返し致します。
取り込んでから時間が差ほど経っていないので、私の一部となることは無かったようです」
最後に深々と頭を下げると右京の着物と手紙と共にスッと消えてしまった。