神恋〜恋に落ちた神と巫女〜
事が終わった洞窟には、桔梗を祀る祠と、倒れる奏と私だけ。
既に冷たくなった奏に駆け寄り息がない事を私は確認した。
「戻ってきてくれて、ありがとう」
ここに奏はもう居ない。
だけど、魂は無くとも戻ってきてくれた事が凄く嬉しいの。
私は優しく頬を撫でた。
「私はずっと、奏の奥さんだからね」
そんな言葉に返答してくれる訳もなく。
外はまだ夜だ。
冷え込む。
こんなところにいたら、奏も寒いって思うよね。
(寒がりだし‥‥、)
泣いてしまいそうになるのを何とか堪え、本殿へと運ぶ。