神恋〜恋に落ちた神と巫女〜
『通りゃんせ 通りゃんせ ここは何処の細道じゃ‥‥ーー』
「あれ?なんか唄聞こえない?」
私の質問に2人は首を傾げるばかりで。
かすかに鈴の音と共に聞こえるその唄声は、とても綺麗な女性の声だった。
『天神様の細道じゃ‥‥ーー』
(まただ‥)
私は導かれるように声のする方へ向かった。
着いた先は本殿の裏にある大きな洞窟だった。
洞窟の前には鳥居が建てられていて、神秘的な何かを感じさせた。
『本殿の裏へは絶対に行っちゃダメよ』
「いたっ‥‥!!」
お母さんの声が聞こえた瞬間に頭に激しい痛みが走った。
あれは確かに昔の記憶だった。
だけど、昔の記憶なはずなのに私は覚えていない。
記憶にない。
お母さんからあんな事言われた事ない。
洞窟からは来るはずもない冷たい風が吹いてくる。
(神秘的だけど、どこか不気味だ‥)
「ちっと通してくだしゃんせ 御用のない者通しゃせぬ‥‥ーー」
「綺麗な声‥‥」
中へ入りたい。
切実にそう思った。好奇心だった。声の主を知りたいと思った。
ゆっくりと私は洞窟へと足を踏み入れた。
が、