神恋〜恋に落ちた神と巫女〜
「わたくしは、姫巫女の月夜と申す者。
この度は水神である水無月 奏様に鈴舞・扇舞を舞いに参りました。
神聖なる本殿へ足を踏み入れた事をお許し下さい」
すると見る見る辺りは水に変わり、壁も床も空間も全てが水に変化して行く。
動く事も出来るし、息をすることも出来る。
だけど体を動かす度に水の音がすると言う事は、私のいるこの空間は紛れもなく水中だ。
眠ったように動かない奏に私はゆっくりと深々と頭を下げた。
断りを入れる事で初めて舞を舞えるって事か。
目の前に、桜の花びらがひらひらと落ちて来る。
そしてゆっくりと現れたのは鈴と扇。
私はその2つを掴んだ。
(いよいよだ)