神恋〜恋に落ちた神と巫女〜


「わたくしは、姫巫女の月夜と申す者。

この度は水神である水無月 奏様に鈴舞・扇舞を舞いに参りました。

神聖なる本殿へ足を踏み入れた事をお許し下さい」



すると見る見る辺りは水に変わり、壁も床も空間も全てが水に変化して行く。

動く事も出来るし、息をすることも出来る。


だけど体を動かす度に水の音がすると言う事は、私のいるこの空間は紛れもなく水中だ。


眠ったように動かない奏に私はゆっくりと深々と頭を下げた。

断りを入れる事で初めて舞を舞えるって事か。


目の前に、桜の花びらがひらひらと落ちて来る。

そしてゆっくりと現れたのは鈴と扇。


私はその2つを掴んだ。


(いよいよだ)
< 91 / 97 >

この作品をシェア

pagetop