吐息のかかる距離で愛をささやいて
駅に着くと、すでに涼子が待っていた。


「ごめん。待った?」


「ちょっとね。」


「えー。そこは、私も今来たとこって返すのが普通じゃない?」



涼子が意地悪な笑顔で言うので、私も笑って返した。



「いや、それはラブラブカップルの会話でしょ。アラサー女だからいいのよ。」


「なんか違うと思う。」



「そんなことはどうでもいいのよ!移動するわよ!」



そう言って、駅の近くにあるショッピングモールへと移動した。



「とりあえず、何か食べよう!」


そう言われて頷いた。



もともとお昼を一緒に食べる予定にしていたから何の問題もない。




お昼の時間には少し早いと言うこともあって、ショッピングモールのレストラン街はそれなりに混んではいたが、目当ての店で待たないといけないほどではなかった。



席に通されて、お冷が出される。


店員さんがさがると、涼子が口を開いた。


「で、何があったのよ。らしくない。」


直球で尋ねられて、思わず苦笑いを返した。



みんなが想像するセクシーな有能秘書を具現化したような涼子だが、中身はなかなか男前なのだ。



「何かあったように見える?」


私が尋ねると、涼子はため息をついた。



「話せないなら無理には聞かないわ。」



私は、少し考えた後、涼子に今の自分を打ち明けることにした。
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