吐息のかかる距離で愛をささやいて
今から5年前の29歳の時、私には婚約者がいた。
化粧品からサプリメントなどを手掛ける会社の商品企画課にいる私と、同じ会社の総務課にいる彼は社内でもちょっとした有名人だった。
商品企画課で男勝りに仕事をこなし、性格もきついと噂の私と、総務課の優しくて穏やかな彼は、男女逆転カップルとか社内格差カップルとか言われていた。
もともと、周りから色々言われることに慣れている私は特に気にも留めていなかった。彼もそうだと思っていた。
実際、彼はすごく優しくて、大事にしてくれた。
私も、彼の隣なら穏やかに過ごせた。
うまくいっていると思っていた。
実際、彼は私の29歳の誕生日にプロポーズしてくれたし、一緒に住む準備も、結婚式の準備も、両家の挨拶も上司への報告も何もかも順調だった。
でも、幸せだった日々はある日突然終わりを告げる。
「ごめん。好きな人ができた。」
一緒に暮らし始めたばかりの部屋で彼は私にこう告げた。
「え?冗談でしょ?」
「ごめん・・・夏帆とは結婚できない。」
「どうして・・・・」
「ごめん。」
ただただ謝る彼に苛立ちを覚えた。
化粧品からサプリメントなどを手掛ける会社の商品企画課にいる私と、同じ会社の総務課にいる彼は社内でもちょっとした有名人だった。
商品企画課で男勝りに仕事をこなし、性格もきついと噂の私と、総務課の優しくて穏やかな彼は、男女逆転カップルとか社内格差カップルとか言われていた。
もともと、周りから色々言われることに慣れている私は特に気にも留めていなかった。彼もそうだと思っていた。
実際、彼はすごく優しくて、大事にしてくれた。
私も、彼の隣なら穏やかに過ごせた。
うまくいっていると思っていた。
実際、彼は私の29歳の誕生日にプロポーズしてくれたし、一緒に住む準備も、結婚式の準備も、両家の挨拶も上司への報告も何もかも順調だった。
でも、幸せだった日々はある日突然終わりを告げる。
「ごめん。好きな人ができた。」
一緒に暮らし始めたばかりの部屋で彼は私にこう告げた。
「え?冗談でしょ?」
「ごめん・・・夏帆とは結婚できない。」
「どうして・・・・」
「ごめん。」
ただただ謝る彼に苛立ちを覚えた。