密かに恋焦がれて
「ヒロには迷惑だよね。妹のような存在だし」
自分がどの立ち位置にいるかなんて解りきってる。だからヒロが言おうとしてることも予想はつく。
ヒロを一瞥すると視線を反らした。
「あれから考えた。
琴美の事はずっと親友の妹だとそう思い込もうとしていたんだと思う。
それが枷になっていたんだって事にやっと気づいた」
琴美が予想したものと違った。
今ヒロは妹だと思い込もうとしたと言った。それはどういう事なのだろうか。
「避けられて顔を見せない時期はずっと琴美の事が気になってた。康成から後輩君てやつとデートだと聞いたときはもやもやしたけど理由には思いあたらなかった。
この間2人で歩いてるのを見たときにはムカついてどうしようもなかった。
ずっと琴美のことは女だと意識しないようにしていたんだと思う。」
下を向いていた琴美は顔をあげた。
「ねぇ、どういう事もっとはっきりと言って」
「お前の事が好きだ」
今、ヒロは好きだって言った?
まさかそんなこと……聞き違えたんだ。
「ごめん聞き違えたみたい。もっかい言って?」