密かに恋焦がれて

琴美の作った花束を気に入った様子で手に持つと男性は帰っていき二人だけになる。

「土曜日の事だけど手伝いに来なくて良い。店は早めに閉めるから」

「そうなんだ解った」

午後はヒロに何か予定があって閉めるのかと琴美は思ったのだけど。

「それから土曜日の夕方迎えに行くから予定あけといてほしい。一緒に食事に行こう」

「えっ？」

ヒロがそんな予定を立ててたなんて驚いた。

「嬉しいけど……どうして急に」

「忙しくてあまり遠出も連れてってやれてないしお前仕事してるのに毎週手伝いに来てくれてるからお礼だ。
もうレストランも予約してあるからな。あとそこはドレスコードがあるらしい」

レストランでしかもドレスコードがある所なんて高級な所に決まってる。
ヒロが無理してるんじゃないかって心配になってきた。

「ドレスコードがあるような所じゃなくても私は別にファミレスでもどこでも大丈夫だよ」

「余計な心配しなくていい」

「でも……」

「……あのなぁ、どれだけ俺が貧乏臭く見えてるのか知らないけどそれなりに稼いでるしお前に心配されるほどじゃない」

琴美の心配は余計なことだったらしい。