密かに恋焦がれて

土曜日

朝からそわそわしてしまい落ち着かない。
何かに集中していると直ぐに時間なんて過ぎてしまうのに待つ時間て長い。
それでも迎えに来てくれるという約束の時間まであと20分となった。

そろそろリビングに行ってようかと最後に鏡に映る自分の姿を確認してからバッグを持ち階段を降りていく。
リビングでテレビを見ていた父は入ってきた琴美をなぜか凝視している。

どこか変なところでもあるのか……
さっき鏡で確認したときは大丈夫だと思
ったのだけど。

「私、どこか変?」

「……いいや、大丈夫だよ。今日はヒロ君と出掛けるのか?」

「うん、食事に誘われたの」

「そうか楽しんでおいで」

キッチンにいた母も手があいたのかリビングに来た。

「そのワンピース琴美に似合ってるわよ。レストランでお食事なんて素敵ね」

玄関のチャイムが鳴った。

「ヒロ君かしら」

「私、出るね」

琴美は玄関の扉を開けた。

「……えええぇぇっ!」

それから驚きの声をあげてしまった。

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