密かに恋焦がれて
ヒロは琴美を立たせると手をひいて階段を降りた。
ヒロとおじさんが帰るのをみんなで玄関で見送ったあと康成は久しぶりに泊まっていくと言う。
リビングに戻ると康成はまた父と飲み始めたため琴美は先に入浴することにした。
昔から入浴するときはシャワーだけで済ます事はあまりない。冬なら少し熱めのお湯に夏はぬるめのお湯にのんびり浸か
るのが好き。
香りと色が楽しめる入浴剤ももう何年も前から琴美の好みのものを使用させて貰ってる。
そうしてゆっくり浸かっているとさっき
のヒロとの事を思い出してしまった。
「いやあぁー!ヒロの変態、もう~やだやだぁ~……」
羞恥心で堪えられなくなり湯槽の中で暴れたら少しだけ気持ちが落ち着いた。
あの時、お兄ちゃんが来てくれて良かった。
もしあのままだったら……
また、あの時の感覚が戻ってきそうで琴美は頭をおもいっきりブンブンと振ると浴槽から出て髪を洗い始めた。