密かに恋焦がれて
幸せな花嫁
ある日曜日、閉店時間を過ぎて片付けを済ませると琴美は外の張り紙を外してヒロの前に出した。
「これに私が募集していい?」
「何だって?」
「だから休みの手伝いだけじゃなくて私を雇ってくれない?」
「いや、待て……仕事はどうするんだ?」
「ヒロが雇ってくれるなら辞めようと思ってる」
「なんで急にそんなことを会社で何かあった?」
「急じゃないよっ、少し前から考えてたの……お花屋さんの仕事が大変なのはヒロ見てるしお手伝いもさせて貰って解ってるつもり、会社でも特に何かあるとかじゃない」
「じゃあ、なんで?」
「お手伝いしてる内に人と接する仕事って良いなって。
ほらこの間ここで買った花束でプロポーズしたら良い返事を貰えたってわざわざ報告しに来てくれたお客さんがいたでしょ?
それ聞いてほっこりした気分になれた」