密かに恋焦がれて
こうやって会社外で話すのは久しぶりだ。島崎と話すのも偶然にあう事がない限り最後になるだろう。
お酒で酔ってるのか顔がいつもより赤い。
「今日はありがとう」
「先輩は結婚してしまうんですね。もう逢えなくなるなんて正直辛いです」
「ごめん……」
「良いんです、先輩が例の人と付き合い始めたって聞いたときからこうなることは予想してました。でも悔しいです、なんで僕じゃ駄目だったのかなって今でも思ってます。
だから今は、おめでとうなんて言えません……帰ります」
「島崎……」
「先輩と一緒に仕事ができて良かった。デート楽しかったです一緒に過ごせて幸せでしたありがとうございました」
「私の方こそ、島崎のお世話係りができて良かった。これからも頑張ってね」
「先輩、さよなら」
「さよなら島崎」
島崎は背中を向けるとそのまま行ってしまった。