密かに恋焦がれて

晴れた冬の日、琴美は純白のウェディングドレスを着て花嫁の控え室にいた。

先ほどお互いの親族だけの出席で教会で式を挙げたばかりだ。
これからお互いの友人、知人を呼んでの披露宴が行われる。

琴美の方の出席者には学生時代の友人、真奈美や会社の総務課で後輩の女の子数名もくる。
ヒロの方も同じのように知人が来るようだ、がなぜか不思議な事に真奈美の旦那でもあり望月コーポレーションの社長の名前が出席者名簿に書かれていた。

真奈美と社長は夫婦だから本来は同じ席になるところをそれぞれの出席者ということで分かれている。

ノックの音があり入って来たのは真奈美だった。

「おめでとう!」

「真奈美、今日は来てくれてありがとう」

「良かった。幸せそうでドレス似合ってるよ。とっても綺麗」

「誉めてくれてありがとう、そうだ社長と席はなれちゃって大丈夫?」

「大丈夫だよ。私は総務課の子達と一緒みたいだし久しぶりに話せるから楽しみにしてる」

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