密かに恋焦がれて

「だっておじさんが快く開けてくれるから……」


「いいから早く入れ。開けっ放しにしとくと中が冷える」


「ごめん。おじさんは?」


「今日は商店街の集まりで、さっき出てった。これ片付けたら送ってく。ちょっと待ってろ」


「送ってってくれるの?」


「しょうがないだろ……最近ここへ来るの頻繁だな」

ついこの間までは総務課にいた同期の白石真奈美とよく帰りにご飯食べたりしていたけど真奈美が秘書課に移ってからはそういうのも少なくなった。


だからこそ、ここに来る回数も増えてる。
迷惑だって解ってる。
でも……ここに来なくなったらヒロとの繋がりなんてなくなってしまう。


「ここっていろんなお花があるでしょ?なんか落ち着くんだよね。疲れててもここに寄ると元気出るんだよ……ヒロが来るなって言うならもうやめる」


お願いっ……『来るな』って言わないで。



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