密かに恋焦がれて
「家に寄ってけば?一人くらいなんとかなるかも。電話してみる」
「バカっ、やめろ。」
「ヒロ?」
電話をかけようとして止められた。
「迷惑になるからやめろ。急に行ったらおばさんが大変だろう」
「多分大丈夫。私、残業じゃないときは手伝ってるし……」
「それでも……今日はお前送ったらコンビニ寄って帰る」
商店街から家はそんなに離れてない。
10分もすれば着いてしまう。
家が見えてきてしまうともう少し遠ければ良かったのになんて思ってしまうのはいつもの事。
「じゃあな」
そう言ってヒロはさっさと来た道を戻って行ってしまい一度も振り向かないその後ろ姿を見送るのも……。