密かに恋焦がれて

今は大人になったから押し入るなんてことはしないけど。
着替えてる間、時々隣からヒロの声も聞こえて来て意識してしまう。


夕御飯は久しぶりにヒロがいたせいかみんないつもよりもテンションが高かった。
何年かぶりにヒロが一緒にここにいてご飯を食べてみんなと話しをしてる。
昔に戻ったみたい……。


夕御飯が終わり母と片付けをしていると父がお風呂を済ませて出てきた。


「琴美、康也とヒロくんにお風呂入るように言っ来てくれる?」


「えっ……」


「どうしたの?」


「何でもない。言ってくるね」


あの日のトラウマが一瞬、甦ってくる。
階段を上り兄の部屋まで来て数分突っ立っていた。
タイミングよくどっちかが部屋から出て来ないかなと思ったけど……。


自分の部屋に入りスマホを出してLINEを開いた。


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