密かに恋焦がれて
「絶対動くな。噛まれたくなかったらそのままそこにいろ」
その人の背中に隠れてブルブル震えているとその人はゆっくりと犬に近づいた。
すると吠えていた犬は急に静かになりいつの間にかその人は犬を撫でていて暫くすると「キャウ~ン」と一鳴きし公園とは反対方向に行ってしまった。
魔法を使ったのかと思うほど呆気なく犬が静かになったから「すごい魔法使ったの?」と聞くとその男の子は呆れ顔になり次にまじまじと私を見た。
「お前大丈夫?
あれっ見たことある顔だな……もしかしてやすなりの妹?」
私はこっくりと頷くと手を引き公園まで連れてってくれた。
この時の彼は本当にカッコよくてヒロインを助けるヒーローみたいで……。
わたしは彼に恋をした。