密かに恋焦がれて
一方通行
ついさっき終業を知らせるベルが鳴りPCから目を離し座ったまま軽く伸びをした。
ふと隣のデスクを見て小さくため息をつく。
ついこの間まで隣のデスクにいた同期は先週急に秘書課に行ってしまった。
会社は最近、社長が変わってしまい色々とバタバタしていてそんな中の異動だった。
お昼休みは一緒に食べているからその時に話しは出来るけどでも……秘書課は最上階、何となく距離ができてしまったように感じる。
さて、帰ろうか。
主任が声をかけてきた。
「高橋くん」
「はい?」
「急ぎなんだ。今日中にやり直し残業してってくれるかな。俺も残業するし……どうしても数字が合わなくてさ……」
「残業ですか?」
おかしいなぁ……いつも打ち込んだあと必ず確かめてるし……。
よく見たらこれ朱里ちゃんがやったものだ。