密かに恋焦がれて

会社を出て大通りに差し掛かると商店街がある自宅に帰るには大通りではなく裏道を通った方が車通りが少なく早道になるけど遠回りになっても大通りを行きたい理由がある。商店街に建ち並ぶうちの一軒に今、私が目指しているフラワーショップがある。
さすがにもう閉まってるかな……。


お店は閉まってても中は薄暗くなっていてまだ人がいるようだ。

入り口近くの窓からそっと中をのぞくと中には二人いて何やら話しをしなが時々手を動かしている。

そのうちの一人が気付き中に入れてくれた。


「おじさん、こんばんは」

「琴美ちゃん!!今帰りかい?」


「うん」


「今日は遅いね」


「今日は残業だったから」


「お前、また来たのかよ」


不機嫌な様子で話しかけてきたのはお兄ちゃんの親友の中林弘高(ヒロ)で私がおじさんと呼んだ人はヒロのお父さん。

「通りがかったら、まだおじさんもヒロも中にいるみたいだったから挨拶だけしていこうかなと思って……」


「弘高、お前琴美ちゃん送ってけ」


「まだ片付け残ってるだろう。お前一人で帰れるよな?」


「……うん大丈夫」


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