密かに恋焦がれて

ヒロのした事でさっきまでの和やかな雰囲気はなくなった。
真奈美は話しかければ応えてくれるけど表情は固い。


ヒロはさっきから黙ったまま手元のグラスにも手を付けずに視線はどこか一点を見ている。
何かを考えているようにも見える。

ちゃんと反省しているのならいいけど……。


お兄ちゃんは時々、真奈美には話しかけているけどヒロには呆れてわざとほっといている。


「そうだ、家にはおそくなるって言ってあるか?」

「大丈夫。連絡しといたから」

「ならいい……おい!ヒロっ」

お兄ちゃんの焦った声に視線を辿ると……。

「社長!」

社長の登場に驚く更に琴美はギョッとした。
ヒロが真奈美の肩に手を掛けている。


挑発しているのは明らか。

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