密かに恋焦がれて
「外は暗いけど大丈夫かい?」
「うん慣れた道だし大丈夫、片付けの邪魔したら悪いしそろそろ帰るね」
フラワーショップを出て家の方向に歩き出して直ぐに追いかけて来る足音が聞こえた。
「琴美!送ってく」
「いいの?」
「親父がうるせぇから。それに……」
「何……?」
「一応、何かあっても困るしな」
一応って何よ。でも来てくれたのが嬉しい。
「ほらっ、お前わりと気つよい方だし相手が逃げそうだし、だから大丈夫だとは思うけどな。万一ってこともあるから」
琴美の気分は一気に下がる。
「失礼な私だって女なの大丈夫じゃないよ。変な人に声かけられたら怖いに決まってるでしょっ」
「解ったから。早く行くぞ」
「待ってよっ」