密かに恋焦がれて

琴美が中に戻ろうとしたら康成がちょうど外に出てきた。

「帰るぞ」

「ヒロは?」

「まだ中、いま会計してる」

「じゃあ、待ってたほうが良いよね?」

「今日は一人にさせてやった方がいい。あっちならタクシーつかまりそうだ」


「……うん」


テーブルに突っ伏していたヒロ……苦しそうだった。
真奈美と社長の間に入る隙なんて無いのはヒロも解ったと思う。
バカな事をしてって思うけど
でもヒロは真奈美を想って行動しただけ自分の想いに従って動いた。


私はどうなんだろう。
直接、ヒロへ想いを告げたことはない。
ヒロが私をどう見ているかはもう解っている。
想いを受け入れて貰えないならせめて今の立ち位置でいたい……そう思っていた。


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