密かに恋焦がれて
琴美は食べ終わったのにいつまでも居座っている島崎に苛立つ。
「あー、もう邪魔よ!! 真奈美とゆっくり話せないじゃない」
「先輩は冷たいですね。俺より白石さんがいいんですね」
ちょっと膨れ顔の島崎。
あれ……何だろ。
性格はわりとしつこくて神経太そうだと思っていたのに意外と繊細な所もあるのかもしれない。
いじけてるような感じが妙にツボにはいり可笑しくなって笑いそうなのをこらえた。
「そうよっ、もう食べ終わってるじゃない。
さっさと食べて直ぐに続きの仕事を始めなさい」
「でも、お昼休みが終わるにはまだ時間がありますよ」
「これは先輩命令!
さっき渡した書類を今日中に終わらせないと残業ね。何んで嬉しそうにしてるの?
私は今日は用事があるのよ残業の場合は課長に残って貰うから」
「そんな……」
わざと強きに命令すると島崎は食べ終わった食器類の入ったトレーを持ち渋々ながらやっとテーブルから離れていった。
そろそろ思い知ってもらわないと、
いつも後輩に振り回されてばかりの私ではない。
「琴美なんか楽しそう?」
「何いってるの?楽しくなんかないよ」
「でも顔笑ってるよ」
「それって誤解だから、拗ねてる顔がおかしかっただけ」
島崎には迷惑してるのに変わりはないんだから。