密かに恋焦がれて
肩で苦しそうに息をする琴美の横で島崎は息も乱れず憎らしいくらいに平然としている。
「転ぶかと思った……」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫ですかじゃないっ!」
まだ苦しくてそのまま続けられずに息を吐き呼吸を整えるとやっと落ち着いた。
「はぁはぁ……あなたは全然平気そうね」
「普通に歩いたつもりなんですが先輩にはキツ過ぎたようですね」
バカにしたような言い方にムッとし琴美は睨むように島崎の方を見る。
「私はあなたより年寄りってバカにしてる?」
「違いますよそんなこと思ってない。自分は加減が解らなくてやり過ぎました。すみませんでした」