密かに恋焦がれて
琴美達は中に進んで行った。
トンネル内は樹木で覆われているから暗いが時折吹く風が気持ち良い。
前の方から人が歩いて来る話し声が聞こえてきた。学生らしい……
手を繋いで琴美達とすれ違って行った。
見るからにラブラブな感じ、きっと恋人同士なのだろう。
「僕と手を繋ぎませんか?」
「は?」
気持ち良く歩いていたのに妙な事を言うなと足を止めた。
「熱でもあるの?」
「まぁそんな反応になりますよね普通は……ちょうど良いかもしれない」
「何が……えっ」
琴美は何がちょうど良いのか訊こうとして次の島崎の言葉に驚いた。
「あなたの事が好きです」
「なんの冗談、もしかして何かの罰ゲームとか」
「罰ゲームなんかじゃない本気です」
まさか島崎から告白されるとは思わなかった。