密かに恋焦がれて
「戻らない?」
2人乗りの足漕ぎボートに乗り込み暫く漕いでいたら足が疲れてきた。
「疲れました?僕はまだ平気だけどやっぱり無理はさせられないし少し休んだら引き返しますか。でも残念ですあそこの浮き島まで行ってみたかったんだけど」
あの浮き島に何かあるのかな……気になる。
「少し休めば、あそこの浮き島までは漕げる体力ぐらいあるよ」
「でも引き返したいって」
「良いから、あそこまで行くよ」
必死で漕いでやっと着いた浮き島には……。
特に何もなかった。
「何もないじゃない」
「何かあるなんて言ってませんよ」
「だって残念だって言ってたから何かあるのかと」
「毎年七月にここで花火をあげるらしいです。先輩と見たいなと思って」
「花火?」
「結構規模が大きいから大勢人が見に来るらしいです」
「そうなんだ」
花火は見てみたい!だけど……。
「やっぱり無理でしたか」
「私、まだ何も言ってないよ」