密かに恋焦がれて


スマホが鳴ったのに気付き確認するとお兄ちゃんからの電話。
帰りはいつ頃かという内容だった。
帰る途中でそんなにはかからないと返事をして切った。

「ここまで来ちゃったけど島崎の帰る方向ってこっちだっけ?」

「ちょっと来すぎてます。でも先輩の家まで今日は送るからこのまま行きます」

「いやいや、わざわざ送ってくれなくても大丈夫だよ」

「遅くなったし送らせて貰えませんか?」

「でも、方向違うのに悪いよ」

「誘ったのはこっちだし送らせて下さい」

家の近くまで島崎に送って貰った。

「送ってくれてありがとう」

「お願いしたのは自分ですから。今日は楽しかったです先輩の事いろいろ知れたし、ますます好きになりました」

「島崎……」

「先輩の気持ちはちゃんと解ってます。ただの会社の後輩ですよね。涙を見たとき先輩の心を占めてる人にはきっと自分は叶わないなって思ったけどそれでも諦めたくないとも思いました。だから」

だから?

「会社では先輩は今までと変わらずにいて下さい。自分はこれからも遠慮なく先輩に絡みます」




< 87 / 143 >

この作品をシェア

pagetop