密かに恋焦がれて
「絡むって……」
「気まずくなるのは嫌だからお互い今まで通りでいましょうってことです。
先輩が好きになってくれる可能性があると信じたい。だからこれからもよろしくお願いします帰ります」
「あっ、島崎……」
言いたいことだけ言って帰るなんて……。
去っていく島崎の後ろ姿を見送りながら
ほっとした気分になる。
楽しかったって言ってた
あのまま分かれずにカラオケ誘って良かった。
「後輩君、ここまで送ってくれたんだな」
背後から声が聞こえてビクッとするが直ぐに兄の声だと気づく。
「お兄ちゃん!」
その後ろから更に人陰が!
「ヒロ……」
まさかヒロがいるとは思ってなかった。
気まずい……。
「久しぶりだな」
「そうだね……」
ダメだ、ヒロの顔まともに見れない。
「お兄ちゃんもう帰るの?」
「明日から仕事だし帰るよ」
「そう今日はありがとう。じゃあね」
ヒロには声をかけることもできなかった。