密かに恋焦がれて

それならまだチャンスはあるかもしれない。
琴美は頷いた。

「じゃあ先輩からどうぞ」

数時間後

二時間歌って勝負がつかず一時間追加してついに島崎は満点を取ってしまった。
琴美も昨日、最後に歌った曲で昨日よりほんのわずかだけど超える事ができた。
結局、賭けは無効に。
今日も島崎は送ると言い張り二人は夜道を並んで歩く。



「島崎、本当に満点とるなんて凄いね!」

「どうしたんですか、急に誉められるとなんだか気持ち悪いです」

「せっかく誉めたのに気持ち悪いなんて失礼なやつ」

「すみません。でも結果より先輩とプライベートな時間を過ごせたことの方が僕は嬉しいんです。賭けも結果はどっちでも良かった」

「なにそれ、じゃあ賭けをしようなんて何で言ったの?」

「やっぱり欲張りになるんですかね」

欲張り……?

「どういうこと?」

急に島崎が立ち止まったから琴美も足を止めると島崎は琴美との距離を縮めた。

「ちょっと島崎っ……やめて!」

迫る島崎から逃れようと琴美は反射的に後ろに下がる。

「なんて顔してるんですか」

島崎は琴美から離れた。









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