密かに恋焦がれて
「本当にそんなんじゃないよ。島崎を彼氏だってお兄ちゃんが言ったの?」
「そう聞いたしさっきも二人で歩いてたから疑う理由もなかった」
島崎が距離を詰めたあの瞬間をヒロに見られてたのかもしれない……だからいい雰囲気だと誤解された。
もやもやする。
一番見られたくなかった人に見られてた事それを見たヒロがいい雰囲気だなんて嬉しそうなのも。
今までの事情を知っているはずのお兄ちゃんが島崎を彼氏だとヒロに言ったことも。
「そうか彼氏じゃなかったんだな……ほっとした」
ほっとした?
「ヒロはさっきは良かったって喜んでたでしょ。ほっとしたっておかしくない?」
「何でだろうな……本当はお前たち見たとき凄くもやもやしたんだ。
置いてかれたような取り残されたような変な気分だった。妹が取られるようなそんな感覚なのかもな」
妹、いつまで経ってもヒロにとって私は……。
この先もそんなふうにしか見てもらえないの。
そんなの辛いよ
これ以上自分の気持ちを押さえ込むのはもう限界な気がした。