痛快! 病ンデレラの逆襲
目覚めると、気分は最悪だった。
夢の中で私は牛一頭を丸焼きにして食べた。
胸がムカムカするし頭はハンマーで叩かれているようだ。
それに、さっきまで寒かったのに今は燃えるように体が熱い。
もしかしたら、これって風邪?
何ということだ。健康のためのウォーキングだったのに……。
これじゃあ、仕事は無理だ。
枕元に置いたスマホを手に取り画面をタップする。
「あっ、真梨香様」
「姫、どうしたの、その弱々しい声! 何だか萌えるわ」
電話の向こうで、真梨香様が腰に手を当てS顔でほくそ笑んでいるのが目に浮かぶ。
「風邪を引いたみたいです。今日はお休み頂きます。主任にお伝え下さい」
「そう、了解! お大事にね」
真梨香様は病人にすこぶる親切だ。
何故なら、真梨香様には不治の病の妹がいるからだ。
もしかしたら、真梨香様のパフォーマンスは自分を力付けるためかもしれない。
「ありがとうございます。では、よろしくお願いします」
電話を切るとホッと安堵の息を吐く。
今日は幸いにも事務作業メインの日だ。明日、残業覚悟で頑張ろう!
でも、今日は……ダメみたいだ。
私は再び目を瞑る。
もう一度、お千代さん、出てきてくれないかな……と思いながら。