痛快! 病ンデレラの逆襲
「あらっ、姫じゃない。まっ、何? 珍しい、その格好で帰って来たの」
要子だった。
「とても似合うわねコックコート、素敵よ」
あっ、だからか、電車の中でジロジロ見られていたのは……。
そう言えば、着替えもせず、コートだけ羽織り帰って来たんだ。
とても変なのに、理由も聞かない要子は……素敵な大人の女性だ。
「顔色が良くないけど、まだ、完治していないんじゃない。無理しちゃ駄目よ」
要子の手が優しく頭をポンポンする。
「仕事よりも自分の体よ。健康でさえいたら何でもできるんだから」
街灯の加減だろうか、要子の顔に翳りが見える。
「ご心配ありがとうございます」
「とにかく、今夜はグッスリ休むのよ。余計なことを考えないで」
余計なこと……。
社長が美麗と抱き合っていたこと……? キスしていたこと……?
フルフルと頭を振る。
そんなの私に関係ない! 私が気にすることじゃない!
でも……頭から離れない。