痛快! 病ンデレラの逆襲

買い物を済ませ帰ってくると社長はまだ入浴中だった。
少しホッとする。
着替えの下着をタオルの側に置き、声を掛ける。

「社長、ここに置いておきますね」
「ああ、ありがとう」

エコーのかかった社長の声が聞こえると、よからぬ想像をしてしまいポッと赤面する。

もしかしたら、私、本当の変態さんになってしまったのだろうか……。
イヤイヤそれはない! とブルンブルンと頭を振り、パンパンと頬を叩き、朝食の支度を始める。

今朝は社長が一緒だから少し豪華に、豆腐とワカメの味噌汁、ブリの照り焼き(はじかみ生姜添え)、ほうれん草と人参の胡麻和え、だし巻き卵、煮豆と炊き立ての銀シャリ。

それらをテーブルに並べていると、社長がホカホカと湯気を上げ出てきた。

「あっ、社長、座って下さい。調子が悪かったら全部食べなくていいですからね」

お味噌汁とご飯を置きながら声を掛ける。

「お前、毎朝こんなに食べるのか?」

社長は椅子に腰掛け、驚いたように言う。

「そうですね。毎朝ちゃんと食べますよ。でも、今朝は社長も一緒だから、品数は多いですけど」

社長の前に腰を下ろし、向かい合う。
照れ臭いので早々「頂きます」をする。

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