痛快! 病ンデレラの逆襲
社長は何を言っているの?
私はズットあのアパートでお千代さんと暮らしてきた。
キッと社長を睨み、バンとテーブルを叩き立ち上がる。
「出て行って! 今すぐ」
腕を真っ直ぐ伸ばし玄関を指す。
「社長なんて大嫌いだ! いい加減なことを言わないで!」
「落ち着け! 怒鳴らなくても聞こえている」
社長は立ち上がるとインスタントコーヒーをもう一杯自分で淹れ、椅子に座る。
「俺はお前のことも千代さんのこともズット前から知っていた。千代さんが亡くなったと知らせを受け、すぐに駆け付けた」
社長はカップに口を付け、コクリと一口飲む。
「葬儀の間中、お前を見ていた。お前は抜け殻のようだった」
社長の声が遠くに聞こえる。
「それからお前は引き篭もった。仕事にも出られなくなり結局クビ。寮も追い出された。このアパートに引っ越させたのは俺だ。これは俺の持ち物だ」
社長のアパート……? だから、すんなり私の部屋に入れたんだ。
他人事のような声が頭に響く。