痛快! 病ンデレラの逆襲
「アッ!」
「思い出したようだな。お前にリングを渡したのも、一緒に遊んだのも俺だ」
社長があの天使だったんだ……マジマジと彼を見つめる。
美しさに代わりはないが、ピュアでホワイトは何処へ行った!
年月とは恐ろしい、と堕天使を見つめる。
「社長が……許婚だったの?」
「そうだ。でも、いろんな不幸が重なり有耶無耶になってしまった」
そうだったんだ、と服の上から胸元のリングをギュッと握る。
ん? と社長が胸元を見る。
だから、ネックレスを引き出し指輪を見せる。
エッ! と社長は驚いた表情でそれを手にする。
「良く持っていたな」
そして、懐かしそうに指輪を撫でる。
「これは母の形見だ」
「そんな大切なものを私に?」
「大切なものだからお前に持っていて欲しかった」
社長がソッと唇にキスをする。
「社長は以前、政略結婚なんてナンセンス、みたいなことを言っていませんでした?」
「政略結婚? じゃないだろ。俺たちは出逢ってすぐ恋に落ちた。幼い頃から相思相愛だった筈だ」
クスクス笑い、またキスをする。それは徐々に熱を帯びていく。
あまりに扇情的なキスに、今度は私の方が熱があるのでは、と思うほどだ。
そして……唇が離れると、少し寂しく感じるのは私が淫らな女だから?