痛快! 病ンデレラの逆襲
フーッと息を吐き、社長が唇を離す。
「これ以上は俺が駄目だ。お前との初体験をコタツの中で済ますつもりはない」
苦し気に言うとコタツから出て立ち上がる。
少し物足りなさを感じながらも、社長が私のことを大切にしてくれているのがヒシヒシと伝わってくる。
「今日は帰る。これから仕事が忙しくなる。クリスマス開けに二人でゆっくり過ごそう。それまでに、気持ちをシッカリ整理しておけ」
気持ちは整理できている。
社長が折れないだけだ。フン、ポキッと折れてしまえ!
「あっ、それから鳳凰彩萌が帰国する。一週間よろしく頼む」
「エェェェ!」と叫び、ガクリと項垂れる。
そうだ忘れていた……あの厄介なお嬢様との一戦が残っていた。
社長、私への仕返しですか。随分楽しそうですね。
「まぁ、パーティーが済むまでだ」
頭をポンポンしてコートを手に部屋を出て行く。
「全く、次から次へと」
一気に脱力する。
本当、社長は斜め四十五度上をいっている。
私は一生社長に勝てないのだろうか……何となく悔しい。
これも『生きている』という感情の現れなのかもしれない。だったら、盛大にこの感情を楽しもう。
社長、今に見ていなさい!
私はフフフと不敵な笑みを浮かべる。