痛快! 病ンデレラの逆襲
「とても楽しかったですね。子供たち、喜んでいましたね」
最後の施設を後にすると心地良い疲れが身体を包む。
派手な車だが、乗り心地だけは最高だ。社長の説明によればシートは特注だそうだ。
抱き締められているようなシートに深く身を沈めウトウトしかけると、社長の声が聞こえた。
「それにしてもお前、メチャクチャ張り切っていたな」
「……あっ、ええ。当たり前ですよ。子供たちとは真剣に遊ばないと……あの子たちは幼いながらもちゃんと分かっています。いい加減か本気か」
「イヤ、お前の場合、同レベルだった気がする」
何と失礼な……と思いつつ、眠気の方が勝って曖昧な返事をする。
「……同じレベルに合わさないと……本気だと思ってもらえないでしょう」
「合わす……ねぇ。素にしか見えなかったが」
ハンドルを握る手が少し震え、肩で笑っているのがよく分かる。
「……とにかく、子供たちの幸せそうな顔が見られて良かったですね」
ファと欠伸をしながら虚ろな瞳で社長を見る。
「社長のサンタ……カッコイイです……ズット続けて下さいね」
社長の腕が伸び私の頬を優しく撫でる。
「じゃあ、お前は毎年ミニスカサンタになってくれるか」
「……ん? ハイハイ、ミニスカサンタでも……トナカイのルドルフでも……何でもなってあげますよ……」
「約束だぞ」と遠くに社長の高らかに笑う声が聞こえる。
その声があまりにも楽しそうだから、私も笑みを零す。