痛快! 病ンデレラの逆襲
優しい夢を見た。
『幸せになるのを恐れないで。貴女が幸せなら、貴女の周りも幸せになるわ』
オレンジ色に輝く光。柔らかな微笑。その温もりに包まれ私は赤子のような安らぎを覚える。
「おはよう」
背中越しに声が掛けられる。愛おしい人の声だ。
そう言えば、二十五日まで大忙しだった。
彩萌お嬢様のパーティーから始まり、パーティーに次ぐパーティー。連日の午前様で精神的にも肉体的にもクタクタだった。
でも、それも昨日でお仕舞。
今度の山は年末年始だ。
やっとグッスリ眠れる。それまでしばし休息を……と思っていたのに……。
社長に拉致られ、エグゼクティブと呼ばれるローズホテルのスイートに連れ込まれた。そして……。
素肌の肩にキスを落とす悩ましい悪魔。
「姫、愛している」
本当にこの男は私に甘い。
「社長、分かっています」
気怠さを覚えながらも身も心も満たされていた。
「心身共に俺のものになったのに、つれないねぇ。そこは『私も愛しています』だろ」
社長は私を組み敷き見下ろす。
「今朝は一段と綺麗だ。俺のお陰? かな」
クッと唇の端を上げると私の前髪を掻き上げ、唇にキスを一つ落とす。
「自惚れ屋さんですね」
恥ずかしさはあるが、こんな他愛無い会話の一つ一つが愛おしい。
幸せとはこんなものだろう。愛する喜びを知り、愛される喜びを知り、二つが一つになった時、得も言われぬ幸せが身も心も埋め尽くす。
彼の首に両手を回し、グッと力を入れ、彼の唇を奪う。
「とても幸せです。愛しています」
唇が離れると驚く彼に、してやったり、とばかりニヤリと笑う。