痛快! 病ンデレラの逆襲

「今日、婚姻届を出しに行きましょう。友引だし、日も良さそうだし」
「おまお前……」

パクパクと金魚のように口を動かすが言葉が出てこないようだ。

「今年中に幸せになることに決めたんです。来年、もっと幸せになりたいもの。そして、私の幸せを伝染させるの、周りの皆に」

悪戯っぽく笑い話を続ける。

「だから社長、私をもっと幸せにして下さいね。私ももっと社長を幸せにしてあげます」

「お前、生意気。だが、魅力的だ。ああ、永遠に幸せにする」

社長の唇が私の唇に重なる。

「なぁ、今、幸せにしてくれると言ったな。なら、すぐ幸せにしてくれ」

呼吸もできないほどの熱い口づけに、私も不慣れながらも応戦する。
だって……愛は対等なものだから。

彼の髪に指を通し、無理矢理彼の顔を少し離す。

「社長、これから俺様は通じませんよ。私たちは夫婦になるのですから」

息を整えると、キスの途中で引き離されムッとする彼に言う。

「お千代さんが言っていました。家庭はかかあ天下の方が上手くいくんですって」

悪戯っぽく笑う私に、夫婦という言葉がお気に召したのか、社長の頬が僅かに上がる。

「それは俺を尻に敷くということか」

フーンと何か閃いたように妖艶な笑を浮かべる。

「じゃあ」と私を抱きクルンと上下反対になる。そして、力を抜くと目を瞑り上に乗る私に言う。

「好きにしていい」
「……?」

社長、言葉の意味が違います! 
私に何をしろと言うのですか!
何なんですか、この色気ダダ漏れの顔は。

社長の色香に酔いしれ、なすすべも分からなくてヘタリと彼の胸に顔を埋める。

クックッと社長が笑いを噛み締める声が聞こえる。

ああ、もう! 斜め四十五度上行く社長に、やはりまだまだ勝てないようだ。
痛快な逆襲はもうしばらくお預け。でも、病ンデレラとはおさらばみたいだ。

「姫、何を考えているのだ。俺だけに集中しろ」

明るい未来を築くため……ドキドキ煌めく今を生きよう!

「貴方の色香に酔いしれているところよ」

社長と共に。




【痛快! 病ンデレラの逆襲】
 ~The End~(後日談に続く)
< 161 / 165 >

この作品をシェア

pagetop