痛快! 病ンデレラの逆襲
「今日、婚姻届を出しに行きましょう。友引だし、日も良さそうだし」
「おまお前……」
パクパクと金魚のように口を動かすが言葉が出てこないようだ。
「今年中に幸せになることに決めたんです。来年、もっと幸せになりたいもの。そして、私の幸せを伝染させるの、周りの皆に」
悪戯っぽく笑い話を続ける。
「だから社長、私をもっと幸せにして下さいね。私ももっと社長を幸せにしてあげます」
「お前、生意気。だが、魅力的だ。ああ、永遠に幸せにする」
社長の唇が私の唇に重なる。
「なぁ、今、幸せにしてくれると言ったな。なら、すぐ幸せにしてくれ」
呼吸もできないほどの熱い口づけに、私も不慣れながらも応戦する。
だって……愛は対等なものだから。
彼の髪に指を通し、無理矢理彼の顔を少し離す。
「社長、これから俺様は通じませんよ。私たちは夫婦になるのですから」
息を整えると、キスの途中で引き離されムッとする彼に言う。
「お千代さんが言っていました。家庭はかかあ天下の方が上手くいくんですって」
悪戯っぽく笑う私に、夫婦という言葉がお気に召したのか、社長の頬が僅かに上がる。
「それは俺を尻に敷くということか」
フーンと何か閃いたように妖艶な笑を浮かべる。
「じゃあ」と私を抱きクルンと上下反対になる。そして、力を抜くと目を瞑り上に乗る私に言う。
「好きにしていい」
「……?」
社長、言葉の意味が違います!
私に何をしろと言うのですか!
何なんですか、この色気ダダ漏れの顔は。
社長の色香に酔いしれ、なすすべも分からなくてヘタリと彼の胸に顔を埋める。
クックッと社長が笑いを噛み締める声が聞こえる。
ああ、もう! 斜め四十五度上行く社長に、やはりまだまだ勝てないようだ。
痛快な逆襲はもうしばらくお預け。でも、病ンデレラとはおさらばみたいだ。
「姫、何を考えているのだ。俺だけに集中しろ」
明るい未来を築くため……ドキドキ煌めく今を生きよう!
「貴方の色香に酔いしれているところよ」
社長と共に。
【痛快! 病ンデレラの逆襲】
~The End~(後日談に続く)