痛快! 病ンデレラの逆襲
「三月末で仕事を辞めるとは言ってあるけど……まだ、彼には告白していない」
「あらっ、要子さんって案外ヘタレね」
夢子がケラケラ笑う。
「夢ちゃん、飲み過ぎ」
ミミがソッとワイングラスを取り上げ、代わりにオレンジジュースの入ったグラスを渡す。
「でも……彼から引き止められているわ。でも、それは仕事上戦力を失いたくないからだと思う。だからあんなことを言うんだわ」
あんなこと? と思っていると代わりに梨子がそれを聞く。
「一生手放さない……とか何とか」
「キャー」と梨子が悲鳴を上げる。
「それってプロポーズじゃないの!」
ハァ? と要子は口をポカンと開ける。
「やだ、胸キュンする。ミミ、私に言ってみて」
「夢子、一生手放さない」
いや~ん、と梨子が身悶えながら問う。
「で、貴女なんて答えたの」
「返済は済んだんだから、手放してもらわないと進めないって」
ハーッ! と夢子と梨子は顔を見合わせ「バカー」と叫ぶ。
「すぐに訂正してらっしゃい。それよりその前に今すぐメールを打ちなさい」
イヤだ! と拒否る要子のスマホを梨子が取り上げ、夢子と一緒にコチョコチョの刑でログインパスワードを聞き出すと速メールを打つ。
「フフン、これでよし!」
「ちょっと、何て打ったのよ!」
要子は手に戻ったスマホの画面を見つめ、「ウソッ」と目を見開く。
私も覗き込み見るとそこには……。
『私を一生手放したくなかったら、結婚して頂戴』と打ち込まれていた。