痛快! 病ンデレラの逆襲
「カッコイイと思わないか? スーパーカーは男のロマンだ! ランボちゃんもフェラーリちゃんも、俺みたいな男に乗って欲しいと言っている。なっ!」
何が、なっ! だ。このナルシストが!
ためになる話が聞けると期待を込め、真面目に聞いていた私が馬鹿だった。
思わず、ルンルンと口元を緩める社長の後頭部を思い切り叩きそうになった。
「まっ、お前みたいな白長靴が似合う女は、まだまだだな」
『女は』と『まだまだ』の間で、チラッとこちらを見、小馬鹿にするような笑みを浮かべる。
「まだまだガラスの靴が似合うシンデレラにはなれない、と言っているのだ」
社長の言葉に、大階段と大時計と脱ぎ忘れられたガラスの靴が浮かぶ。
「シンデレラですか……」
キラキラ光るティアラ。純白のドレス。お姫様と王子様。
そんな世界を夢見ていた頃もあった。でも……。
「別になれなくてもいいです。それに、私には継母も意地悪な義姉もいませんし、あっ、でも、魔女みたいなお千代さんはいます」
今朝のお千代さんを思い出し、口元が緩む。